住居侵入 建造物侵入|実家に正当な理由なく住居侵入で逮捕
姉に権利を譲った実家に帰って寝ていた男性が、平成26年4月、住居侵入罪で逮捕されました。
実家に帰るのがなぜ住居侵入になるのかと不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、住居侵入罪は、その場所を管理している人が「嫌だ」と思っているのに立ち入った場合に成立します。
なので、比較的短時間、しかも悪気なく立ち入ったような場合にも住居侵入となることがあります。
ドラマや漫画などではしばしば色々なところへ侵入したりするシーンがありますが、住居侵入罪を厳密に適用したらほとんどがアウトです。
「バクマン」という漫画で、吉田氏という登場人物が、小学生が校舎に侵入したのをとがめていたシーンがありましたが、ああいうのは全部ダメです(なお、校舎のように人が住んでいない建物の場合は建造物侵入罪となります)。
さて、この犯罪のポイントは「管理している人が嫌だと思っているのに立ち入った」という部分です。
人の心の中というのは見えないわけですし、どういう時に嫌なのかも人それぞれです。
そこで、「普通だったら嫌だろう」みたいに考えて結局は大体の場合が逮捕されたりします。
ただ、どういう場合に「普通だったら嫌」といえるのかはあいまいで争う余地もかなりあるので、逮捕・勾留された段階でがんばれば不起訴となることも多くあります。
ここは弁護人の腕の見せどころです。
今回のケースでは、父親が亡くなって息子(今回逮捕された方)が相続した家を、遺産分割協議で姉にあげたという事情があったようです。
息子からすると自分の家という感じがしていたのかもしれませんが、姉からしても自分の家です。
とはいえ、普通はこの程度で逮捕されたりしません。
きっと遺産分割協議の際にすごく揉めて「家には絶対入らない」という合意をしただとか、昔から仲が悪くて顔を合わせたくなかったといった事情があったのでしょう。
どのレベルまでいけば住居侵入となるのかという点、要するに住居侵入罪の限界というのは非常に難しい問題ですが、最高裁では、住居の付随地であるポストにポスティング目的で立ち入った場合も住居侵入罪が成立するとしています。
突き詰めて言えばそうなのかもしれませんが、何だか釈然としない話です。