ニコサウンド閉鎖と管理人逮捕。稼いだ1億円の行方は?
ニコサウンドというサイトを運営していた男性が逮捕されました。
このサイトは、特別なソフトなどがなくてもニコニコ動画などにアップロードされた動画から、音楽部分だけを抜き出してmp3に変換することができました。
廃盤になったCDや発売されていない曲を保存してスマホで聞くことができたわけで、考えようによっては非常に便利なサイトです。
今回逮捕された理由は、著作権法違反の「公衆送信権、送信可能化権の侵害」です。
「公衆送信権」と日本語で言われると何だか難しい気がしますが、かなり大雑把に言うと、勝手にダウンロードできるような状態にしたらダメということです。
とはいえ、ニコニコ動画に動画を違法アップロード→この時点でアップロードした人が原著作者の公衆送信権を侵害しているように思うのですが、今回の事件だとそこは不問なんでしょうか。
検事がどのように犯罪事実を構成してくるのか興味深いのですが、違法アップロードされた動画からmp3だけ抜き出してダウンロードできるようにしたというのは、幇助(今回で言うとダウンロードを手助けすること)に近いような気もします。
「送信可能化権」の方は、実際の送信行為がなくても自動送信しうるような状態にすればいいのですが、こちらも元々自動送信しうる状態においたのは元のアップロード主ですしね……。
さて、ここで気になるのは、ニコサウンドの運営者が稼いだお金の行方です。
ユーザーは、ニコサウンドを無料で使用することができました。
ただ、管理人は広告収入を得ていたのです。
その額、1億3000万円とも言われています。
サーバーの管理費や税金を考慮してもかなりの額が手元に残ったことでしょう。
今後著作権法違反で罰金を課せられたとしても最大で1000万円ですから、やはりお金が残る可能性が高いです。
もちろん、著作権者から民事訴訟で損害賠償を受ける可能性もありますが、実際に裁判をしようとするとちゃんと証拠を出さなくてはならないのでかなりの手間です。
特に、この手の刑事事件で起訴に至るのはごく1部の被害者の分だけなので、それ以外の方は自力で証拠を集める必要があります。
それに、民事で訴えられた場合、ニコサウンドの管理人がニコニコ動画や動画のアップロード者を裁判に巻き込んで争うことも考えられます。
民事裁判は長期化し、最後はほどほどの金額で和解、となれば管理者はそれほどダメージを受けないのでは、とも予想されるのです。
というわけで、今回はニコサウンドで稼いだかなりのお金が運営者の手元に残る可能性があります。
変じゃないか、と言われてもそういうものなのです。
なお、使ってしまって手元にないということはあるかもしれませんが、美味しいものを食べたりゲーム機を買ったりして散財した分を返さなくていいのであれば結局は同じことです。
犯罪の収益金についてはこれまでも度々問題となってきました。
振り込め詐欺などを見ていても、奪ったお金は海外の口座などに消えてしまい、被害者の元へ返ることは全くと言っていいほどありません。
この辺りは、何か良い法律ができればなあといつも思うのです。
(追記)
平成26年7月16日、札幌地裁は、ニコサウンドの運営者に対して、懲役3年(執行猶予4年)、罰金500万円の有罪判決を言い渡したようです。
1億円以上稼いだとなると儲かっているのでは・・・と思いますね。