AKB握手会で川栄さん他が刃物男に刺される!が殺人未遂の理由

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AKB握手会で川栄さん他が刃物男に刺される!が殺人未遂の理由

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AKB48の川栄李奈さんと入山杏奈さんが、握手会の参加者から切りつけられ、怪我をされたそうです。
昨日退院されたようなのですが、怪我をされたスタッフの方を含め、早く復帰されることを祈っています。

 

AKB握手会でメンバー刺される

 

さて、このニュースを聞いておやっと思ったのは、被疑者が「殺人未遂」の容疑で逮捕されたという部分です。

 

現時点で報道されているニュースから犯行の状況を総合すると「折りたたみ式の刃渡り25センチくらいののこぎりで手や顔を切りつけた」ということのようなので、傷害罪なら納得ですが、殺人未遂というとどんなのこぎりで、どんな風に切りつけたんだろうということが気にかかったのです。

 

 

殺人未遂というのは大まかに言うと、殺人の実行行為に着手したものの、何らかの理由で殺害に至らなかった場合のことをいいます。

 

被害者が無傷かどうかは関係ありません。
銃で撃ったのにあたらなかった場合も殺人未遂です。

 

殺人未遂で重要なポイントの1つは、「殺意」です。
これは心の中のことなので、外から見て分かるものではありません。

 

そこで、裁判では主に客観的な(=外から見える)状況から総合して殺意があるかどうかを「一方的に」決めています。
どういった事情を総合するかは色々なのですが、一般的には、@怪我の部位や程度、A凶器の種類、用法、B動機の有無、C犯行前後の言動などから判断するなどと言われています。

 

そういうわけで、細い木の枝で「ぶっ殺してやる」と言いながら殴りかかったとしても(そして本人は心底「殺してやろう」と思っていても)、判決では「殺意なし」となる場合がありますし、逆に「興奮して覚えていない」という場合でも包丁で何度も刺せば、「殺意あり」となるわけです。

 

というわけで、殺意の判断というのは難しいのです。
裁判官が「普通の人ならこう考えるだろう」といったところを基準に証拠から犯人の心の中を推測するので、実際の内心とズレが生じることも当然あるわけです。

 

 

さて、では今回の事件について、検察官はどのような構成で「殺意有り」と主張してくるでしょうか。

 

1つはのこぎり自体がすごく危険だと主張する。
危険なのは当然じゃないかと思われる方も多いでしょうが、裁判官(そして裁判員)に対するインパクトが大切なので、包丁や拳銃に近いくらい危険!ということを強調する必要があります。

 

2つ目はのこぎりの使い方が危険だったことを主張。
この部分はあまり報道されていないのですが、一歩間違ったら死んでいたということをアピールしなければなりません。

 

3つ目は、身体の中心部を狙ったこと。
最後に犯行前後の言動等々を組み合わせて殺意有りと主張するものと思われます。

 

なお、もし起訴の段階で傷害罪に変更となった場合は、検事が、凶器の形状や使用方法について危険性を十分に主張できないと判断したということになるでしょう。

 

今後は握手会の方式なども変わるでしょうし、同じようなアイドルたちもファンと会う時に不安を感じるでしょう。
被害に遭われた方や関係者の心の傷も大きいはずです。
憤りを覚える事件です。

 

 

追記

 

平成27年2月10日、盛岡地裁で判決が下されました。
懲役6年です。検事の求刑は懲役7年だったので1年短くなりました。

 

なお、起訴されたのは「傷害」と「銃刀法違反」でしたね。
殺意までは認定できないというのが検事の考えだったのでしょう。

 

ただし判決は「無防備な被害者に一方的に切りつけ、命さえ奪いかねない」と述べていることから、殺意があったかどうかというボーダーラインに近い事案だったのでしょう。

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