ブックオフなどで値札を張り替える罪は、詐欺? 窃盗?
バーゲン会場で、15万円相当の商品の値札を3万2000円の値札に貼りかえたとして大阪市の職員が逮捕されました。
1円も払わずに商品を持ち去れば窃盗(万引き)ですが、値札を貼りかえた上で安く商品を買えば詐欺になります。
価格を安く偽って、お店の方が騙されて商品を売ったというところから、値札貼りかえは詐欺罪となるのです。
窃盗は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金、詐欺は10年以下の懲役ですから法定刑はそれほど変わりません。
しかし、犯罪の証明をしようとすると詐欺と窃盗では大きく異なってきます。
窃盗罪は、「窃取したこと」が問題になります。
「お金を払わないで商品を持って店外に出た」という事実さえあれば比較的簡単に犯罪の成立が認められます。
一方、詐欺はそうはいきません。
値札を貼りかえたという証明は意外と難しいのです。
特に、被告人が「自分は知りません、最初からこの値札がついていました」と主張した場合、検察側は困ります。
以前、古本屋で、500円の値札をはがして100円の値札を貼ったという事件に遭遇したことがありました。
この時は店内に丸めて捨てられていた500円の値札から犯人の指紋が検出され、有罪となったのですが、そういったものがない場合、貼りかえたという証拠は中々出てきません。
今回の事件では、値札を歯で引きちぎるなどしていた様子を目撃した方がいたようです。
ただ、目撃証拠というのは曖昧なこともあります。
物証なら言い逃れができなくても、目撃者なら証人尋問で揺るがすことができるかもしれません。
刑事事件は疑わしくは被告人の利益にという建前で動いているので、ちょっとでも穴があると無罪になってしまうこともあるのです。
ただ、いくら裁判所の証明が難しい犯罪だとはいっても、お店の人は何となく分かっています。
「なにか変だな」が積み重なるといつか逮捕されます。
出来心でも、決してやってはいけません。