これを言ったら脅迫でアウト!交渉時に気をつけたい言葉遣い
少し前に、21歳の男性が脅迫の疑いで逮捕されたというニュースを耳にしました。
元交際相手の女性に対して、「このままじゃ貴女を殺してしまいそうで怖いんです」などというメールを送ったことが脅迫の疑いがあるとされた模様。
脅迫というのは意外と成立しやすい犯罪です。
それどころか、交渉の際に強く出ていたところ脅迫と言われてしまえば、有利に進めていた交渉が一気に不利になりかねません。
下手をしたら、「請求額を減額する代わりに脅迫した事実を警察に言わないでくれ」などという屈辱的な合意をせざるを得なくなってしまうこともあるでしょう。
何をしたら「脅迫」になるの?
条文上は「生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害を加える旨を告知」したら脅迫だと書いてあります(刑法222条1項)。
また、本人のみならず、親族に害を加える旨を告知してもアウト。
しかも判例は、本人が畏怖していなくても、「害悪の通告」をしたら脅迫が成立すると言っています。
要するに、「言うこと聞かねえとぶっ殺すぞ」とか言ったら即アウトです。
どの辺がボーダーなの?
最初にも書きましたが結構簡単に成立するのでボーダーは低いと考えて下さい。
「・・・を止めろ。でないと必ず不幸が起こる」などと申し向けたことで脅迫罪の成立を認めた裁判例があります。
また、村内の抗争中に「出火見舞い申し上げます、火の元にご用心」という葉書を送った場合も脅迫罪。
恐喝罪とどう違うの?
脅した上で物を取るのが「恐喝」です。
「脅迫」は物をとらなくても成立します。
あと細かいところですが、「脅迫」の脅す対象は親族のみ。
一方「恐喝」の場合に制限はありません。
「お前の親友を殺すぞ」と脅しても「脅迫」は成立しません。
でも「カネを出さないと親友を殺すぞ」とやってしまうと「恐喝」が成立します。
何度か事件で見たことがありますが、プロとして不当な要求をする方々はこの辺りの線引きをしっかりと心得ています。
これは言っていいというのはあるの?
難しい質問です。
さっき挙げた例でいうと、抗争中という前提を踏まえて「出火見舞い申し上げます、火の元にご用心」という葉書を送ったことが脅迫にあたるとされているようです。
状況を全体的に見て、状況や言い方、人数など色々な条件が揃えば、ちょっとした言葉で脅迫だと言われかねないのです。
交渉はあくまで丁寧な言葉で、脅迫と言われかねないような疑わしい言葉は迷ったら使わないことが肝心です。