iPad箱だけ詐欺。弁護士が教える悪質出品者を見抜く方法
Yahoo!オークションで、iPad Airを3万9500円で落札した…と思ったら送られてきたのは箱だけという事件があったようです。
まずは次の商品説明をご覧ください。
これを読んで、あなたは箱だけが送られてくると判断できるでしょうか。
なお、掲載されていたのはiPad Airの「箱」の写真です。
===出品者ページからの引用開始===
商品名:美品 iPad Air Wifi 32GB グレイ 化粧箱付属品有
商品説明
ご覧に頂き誠にありがとうございます。
メーカー等:Apple
MD789J/A Wifiモデル32GB
付属品有。
入手後開封、確認のみ。
以降カメラ用防湿庫保管。
下記事由により1円スタートです。
先日景品として頂きましたが、既に使用しているタブレットがある為出品します。
一度でも開梱しておりますので中古と致します。
※7月中旬ころまで仕事の都合によりご質問、ご連絡等見逃してしまう可能性がございます。
ご容赦下さいませ。
===引用ここまで===
http://megalodon.jp/2014-0721-2248-43/page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/186413041(web魚拓)
残念ながら、私はこれだけで箱だけが送られてくるとは判断できません。
恐らくあなたもそう感じたのではないでしょうか。
・型番が書かれている→普通は箱を売るだけなら型番は書かない
・「既に使用しているタブレットがある為」との記載がある→普通は、不要なのは箱ではなくタブレットと考える
・「カメラ用防湿庫保管」との記載がある→普通は箱を防湿庫に保管しない
要するに、商品説明からするとタブレット本体を販売していると考えるのが普通の人の判断だといえます。
一方、出品者の反論として、
・どこにも「本体」を出品するとは書いていない
・商品の出品カテゴリが「iPad用アクセサリー > その他」
という点などから、「勝手にタブレットだと勘違いしたほうが悪い」との言い分が考えられます。
しかし、先に挙げた諸点からすると、たとえ明確な記載がなくとも本体を販売していると考えるのが普通です。
また、出品カテゴリというのはそれほど重要なものではなく、出品者が任意に選択することができる上、小カテゴリの中では厳密な分類がされずに商品の出品が行われています。
というわけで、以上のような出品者の反論を考慮してもやはり、この商品説明は紛らわしいく、だますつもりだったと言われてもおかしくないと考えられます。
だまされないにはどうしたらいいか。
これを守れば絶対に安全というわけではないですが、かなりの確率でだまされることを回避できそうなチェック項目を挙げておきます
新製品や高価なブランドの新品など、みんなが欲しそうなものは疑う
「評価」の欄を見て、1つでもマイナス評価があったら疑う
「評価」の欄を見て、最近の取引があるか確認
日本語に間違いがないか確認
出品場所が国内かどうかを確認
タブレット端末やデジカメなどの新製品、またヴィトンやグッチ等の人気ブランドの財布などは多くの方からの入札が見込まれるため、悪質出品者が取り扱う可能性の高い類型の商品です。
逆に、マイナーな商品や明らかな中古品などは悪質出品者に狙われにくいでしょう。
評価にも注目です。
「悪い」や「非常に悪い」評価が1つでもあったら要注意。
ただし、この手の評価は落札者の繰り上げ対応を誤った時に自動で付くものなどもあります。
どうして悪い評価が付いたのか、内容も確認してみてください。
1000件も取引していれば、1つや2つの悪い評価が付くのもやむを得ません。
なお、良い評価ばかりでも、最近の取引が無い方には要注意です。IDの乗っ取りなどの可能性があるからです。
また、偽ブランド品の多くは外国で作られた物が多いと言われています。
このような商品の場合、商品説明の日本語が間違っていたり、「てにをは」がおかしかったりします。
更に、海外からの発送と言って、高額な送料をあとから請求したりすることもあるようです。
というわけで、入札の際には以上のような点に注意してみてはいかがでしょう。
だまされてしまいました。どうしたらいいでしょう。
正攻法で進めるなら、詐欺や錯誤を原因として内容証明郵便で解除通知を送り、それでも返金してこない時は訴訟(少額訴訟)を提起して裁判という流れになります。
また、警察に被害届を出すことで警察から相手方に連絡が入り解決することもあるかもしれません。
ただ、内容証明郵便で1500円、裁判所に収める印紙が1000円(通常訴訟で10万円までの請求を行う場合)、切手代が約6000円、これだけでまず1万円弱の費用を捻出する必要があります。
また、平日の昼間に裁判所へ行かなくてはならなかったり、判決が出ても払ってこなかったら強制執行を行う必要があり、この場合も更に1万円ほどの出費を覚悟しなくてはなりません。
もちろん、訴訟にかかった費用はあとから回収する余地はありますが、それでも請求額との釣り合いを考えると躊躇してしまう手間と金額です。
数万円の被害でここまでしなくてはならないのか、と感じる方も多いでしょうが、それこそが悪質出品者の狙いです。だまされたと思ったら徹底的にやることをおすすめします。
なお、ご要望が多ければ裁判用の書式だとかをどこかにアップしようと思います。
許せんという方はどこかからご連絡ください。
それでは、楽しいオークションライフを。