女性専用車両って男性が乗っていいの?いけないの?
女性専用車両に乗った男性に対し、女性が「気持ち悪い」などと叫ぶ動画が話題になっています。
動画の撮影者は女性専用車両と知っていて乗車したようですが、これ、間違えて乗ってしまうことも結構ありませんか。
特に、御堂筋線の女性専用車両!
6両目にあるって分かりにくいじゃないですか。何回恥ずかしい思いをしたことか…
さて、こんな女性専用車両ですが、通勤ラッシュの時でも空いているような気がします。
あっちに乗れたらどんなに楽かと思うのですが、実際に乗ったらどうなるのでしょう。
こういう時にまず参照するのは「鉄道営業法」。
前に、「新幹線の指定席に他人が座っていたらどうなるか」の記事で出てきた法律です。
第三十四条 制止ヲ肯セスシテ左ノ所為ヲ為シタル者ハ十円以下ノ科料ニ処ス
二 婦人ノ為ニ設ケタル待合室及車室等ニ男子妄ニ立入リタルトキ
カタカナで読みにくいのですが、要は「婦人のために設けた待合室や車両に男子がみだりに立ち入ったら科料にします」という規定です。
普通に考えたら、女性専用車両は「婦人のために設けた車両」にあたりそうな気がするのですが、国交省や鉄道会社は、これに当たらないと考えている模様。
「女性専用」なのに「婦人のために設けた」にあたらないのは条文的におかしいだろ?常識的に考えて!という気がするのですが、法律にはこういうのが結構あります。
なお、昨日の帰りにJRの品川駅で駅員さんに本当はどうなのかと聞いてみましたが、あくまでお願いをしているだけで法的な強制力はないらしいと言っていました。
やっぱり、法律違反にはしないで、お願いで運用しているらしい。
なぜ「お願い」にとどめているのか
多分裁判をされたら面倒だからじゃないかと思います。
憲法14条には男女平等と書いてありますし、争う余地は結構あります。
もちろん憲法違反を争うとなると基本的に国を相手にしないといけないとかルールはあるのですが、損害賠償請求の中で憲法の趣旨を汲み取って違法だと主張することはできます。
もし、男性が女性専用車両に乗ること自体を違法として強制的に排除すれば、全国で鉄道会社を相手に無数の訴訟が提起されることでしょう。
これは会社としては非常に大変です。
100件起こされた訴訟のうちの1件でも負けたらアウトなのですから。
ということで、法的に固めてしまうのではなく、お願いにとどめるという対応をとっているのではないかと思うのです。
じゃあ「女性専用車両から出てけ」と言われたらどうしたらいいのか
駅員さんに、この女性専用車両は鉄道営業法34条2号の「婦人ノ為ニ設ケタル…車室」なのかと聞いてみてください。
「そうだよ」と言われたら諦めて違う車両に移るしかありません。
女性専用車両なんでおかしい!争ってやる!!という信念をお持ちの方であれば、そのまま居座って、強制排除された際に裁判をするという方法が取れることになります。
前科がつく可能性もあるのでお勧めしませんが…
「違うよ。ぜんぜん違うよ」と言われたら多分そのまま女性専用車両に乗っていても問題ないはずです。
ただこの場合は、女性からの冷たい視線に耐えないといけないのがあれですが。
個人的には、車内に防犯カメラを増やしてもらえれば痴漢の誤認も減るでしょうし、目撃者探しにも役立って安心なのになあと思うのです。