楽して稼ぐはずが…投資用マンションを購入したサラリーマンの末路
今月は投資用マンションの相談を何件も受けました。
投資用マンションなどというと、お金持ちの話で自分には関係ないと思われる方が多いかもしれません。
しかし、私がこれまで相談をお受けした方は普通の会社員や公務員の方が圧倒的多数です。
サラリーマンなどを対象とした投資用マンションとは
概ね1000万円から2000万円ほどのマンション1部屋を購入し、人に貸して家賃収入を得るというものです。
返済は月々7〜10万円ほど。
ローン期間は概ね30年。
ローンが7万円の物件を月7万円で貸すことができれば実質負担0でローンを返済できることになります(後述しますがここが落とし穴!)。
もちろんローン完済後の家賃はあなたのもの。…と、こういったものが基本的な枠組みです。
最近では、空室になっても家賃を保証しますよとか、赤字になっても申告をすれば税金が戻ってきますよといった売り文句もよく聞きます。
というわけで老後の資産形成に何だかとっても魅力的に思える投資用マンションなのですが、果たしてそううまくいくのでしょうか。
やってみたら毎月の赤字が思ったより多い!
マンションを買った場合に必要になるのはローンの支払いだけではありません。
毎月数万円の修繕積立金や管理費、それに固定資産税だって必要です。
加えて経年劣化した室内の修繕費は大家さんの負担ですし、古くなれば家賃を下げる必要も出てきます。
要するに、家賃ベースで考えていると毎月赤字を垂れ流すようになり、「こんなはずじゃなかった」となるわけです。
なお、こういったマンションを購入する方は複数の物件を次々に購入することが多いので、各物件でマイナス数万円、トータルすると毎月10万円以上の赤字が出るということもよくあります。
これをローン完済まで30年ほど続ける…というのはどだい無理な話だということはすぐにお分かり頂けるはずです。
詐欺じゃないのか!!
騙されました、詐欺です、といって相談にいらっしゃる方も多いのですが、余程のことがない限り詐欺ということはできません(消費者契約法に基づく解除も中々難しいです)。
思ったより赤字が多いからといってマンションの購入を無かったことにはできないのです。
厳しい話ですが考えが甘かったと言わざるをえません。
マンションを売って借金を返せばいいじゃないかという方もいらっしゃるでしょうが、そううまくはいきません。
2500万円で購入したマンションが、数年後に1900万円に値下がりしたなどということはよくある話です。
ローンが2300万円残っていれば、マンションを売っても400万円の赤字。
この赤字はマンションを売却した後も払っていかなくてはならないのです。
投資用マンションを買うにはどういった所に気をつけたらよいのか
どこに気をつけるべきか自分でわからない方は手を出すべきではありません。
特に不動産というのは購入する物件によって注意すべき点も異なってきます。
参考までに一般的な注意点を挙げておきますが、これらを確認したからといって安心というわけではないのでご注意を。
・最初に必要な経費はいくらか(保険、仲介手数料等々)
・月々いくらの賃料を得ることができるか(家賃保証はあるか)
・家賃保証がない場合、空室となった際に誰が借り主を探すのか
・管理費、修繕積立金、その他毎月必要となる経費はいくらか
・固定資産税はいくらか
・1年目、3年目、5年目、10年目、20年目、30年目の収支予測はいくらか
・赤字となる場合、1年でいくらの赤字になるか
・上記赤字を前提に申告をすると税金がいくら返ってくるか
・黒字の場合、税金をいくら払う必要があるか
・赤字が長く続く場合、自分の収入で耐えることができるか
・3年ほどでマンションを売却した場合、いくらで売れそうか
・リフォームはどの程度のお金がかかるか、信頼できる業者を知っているか 等々
ローンが払えなくなったらどうなるのか
やりくりが大変になってご相談にいらっしゃった方については通常、マンションを任意売却して、残ったローンについて債務整理をするという流れが多いです。
債務整理というと破産や再生を思い浮かべる方もいらっしゃいますが、債権回収会社に対して減免のお願いをしてうまくいった例などもあります。
自分は月数万の赤字なら問題ない、最終的にマンションが自分のものになるからいいんだ、という方もいらっしゃいますが、よくお考え下さい。
苦労してローンを返しても、全体的な枠組みで見た時に得なのかという点は大いに疑問です。
30年間にわたって月2万円の赤字を出すとなると年間の赤字は24万円、30年間で720万円の赤字が生じることとなります。
ローン完済後、月の家賃収入が6万円ずつあったとしても赤字分を回収するには10年かかります。
もちろん、リフォーム代や税金のことは考慮に入れていません。
最後に不動産を売却したとしても残るお金はそう多くないでしょう。
さて、ここまでお読みになって鋭い方はお気づきでしょうが、結局儲かるのはやりくりができなくなった素人から投資用マンションを買い叩くプロの投資家なんですよね…。
新築で買った時はトータルで赤字の投資用マンションでも、数年後に中古で買えば利回り5〜10%の優良物件に早変わり、ということはよくあります。
結局、よく調べないで購入した素人は、プロの養分になってしまうのです。
ただ、全ての投資用マンションがダメと言っているわけではありません。
ちゃんと調べて、計算に基づいてやれば安定した収入を得ることだってできるでしょう。
結局、楽をしてハイリターンの商売なんてないのです。
最後に、投資用マンションを買ってみたけれども何だかうまくいかないなあと感じておられる方がいたらご相談下さい。
赤坂まできて頂けるようでしたらしばらくは無料で相談をお受けします。