やっぱり高い刑事弁護費用、知っておきたい相見積もりの取り方
あなたが弁護士を探さなくてはならなくなった場合、まず重視するのは「能力」でしょう。
裁判に勝ってくれるのなら、リーガル・ハイの古美門研介のような性格の方でも依頼は殺到するはずです。
とはいえ依頼する際は能力と同じくらい考慮しなくてはならないのが弁護士の「費用」。
民事事件なら相手から回収したお金から費用を払うこともできますが、刑事事件ではそうはいきません。
というわけで、できるだけ少ない費用で、自分の利益を最大限守るには(要するに刑を軽くしてもらったり不起訴にしてもらったりするには)、相見積もりを取ることが非常に重要となってきます。
1 弁護士費用の決め方に基準はない!
さて、じゃあ見積もりを取る前にホームページでも眺めて安そうなところを見繕ってみるか、ということをやろうとすると、途端に分からなくなってきます。
というのも、弁護士費用というのは各自が自由に決めていいことになっているからです。
昔は日弁連や弁護士会が一定の幅を決めていたのでまだよかったのですが、公正取引委員会から「カルテルじゃないか」的なことを言われたため、平成16年4月から報酬規程が自由化されました。
弁護士の職務規定を見ても、「適正かつ妥当」な報酬にしなければならないと書かれているだけです。
要するに極端に高いとかぼったくり価格でない限り、どんな内容の報酬規定でもOKということになります。
そんなわけで、個々の事務所や弁護士が様々な報酬ルールを決めており、比較した時にどっちが安いのかということが分かりにくくなっています。
2 じゃあ、どこをポイントに見たらいいのか
一つは、カルテルだと文句を言われた「旧報酬規定」と比べてみることです。
この規定は、弁護士が受領する費用を「着手金」、「報酬金」、「その他」(交通費等)に分けて、事件の最初と最後(というか何かの区切り)でお金を頂くというスタイルを取っています。
そういえば古美門弁護士も「着手金が1000万、報酬金が2000万、計3000万円、これが私の弁護士費用だ!」とか言っていたので、この方式をとっていることが分かります。
というわけで、旧報酬規程の要点を抜粋するとこんな感じ。
(1) 起訴前 着手金 20万円から50万円の範囲
起訴時の着手金 20万円から50万円の範囲
(2) 報酬金 不起訴の時 20万円から50万円の範囲
起訴後・執行猶予の時 20万円から50万円の範囲
これでも分かりにくいわけですが、逮捕→起訴→判決という一般的な流れで執行猶予となると、最低でも起訴前の着手金20万円、起訴時の着手金20万円、執行猶予が付いたときの報酬金20万円の合計60万円が必要です。
ただ、20万円というのはかなり単純な事件の場合です。
ちょっと難しい事件だったりすると、途端に100万円コースとなります。高いですね…
というあたりを参考にある程度事務所を絞ることができたら、次は事務所へと行って(又は親族だとかに接見室に呼んでもらって)、直接弁護士に費用を尋ねてみましょう。
3 費用の尋ね方
事件にもよりますが、
(1) 逮捕→不起訴となった場合
(2) 逮捕→起訴→執行猶予(一審)となった場合
(3) 逮捕→起訴→実刑(一審)となった場合
それぞれいくらかかりますか、と聞いてみるのが一番です。
そして、保釈請求だとかをすると余分にお金がかかることがあるので、この他にかかるお金はありますかと聞いてみるのも忘れずに。
場合分けしないで「全部でいくらかかりますか」などとざっくりとした聞き方をすると「色々なケースがあって…」などと言われたり、一気に説明されたりして分からなくなってくるので、取りあえずこの3つを聞いて他の事務所と比べてみるのが一つの参考になります。
なお、このパターンにあたらない類型の事件を頼むとしても、この3つが安ければ他の場合も安いのでは?という推定が働くのでこれまた参考になるでしょう。
4 見積もりの際は必ず面談で!
正確な見積もりを出すためにはお会いして話をするのが一番です。
なので、お手数でも必ず事務所へ行って弁護士と直接面談することをお勧めします。
そして、実際に弁護士と会うというのはこちらが弁護士を吟味するチャンスでもあります。「話が分かりにくいな」とか「この人合わないな」と思ったら、「概要は分かりました、あとはお金を出してくれる母と相談してから連絡します」的なことを伝えて帰ってしまえばOKです。
こうしていくつかの事務所を回れば、ここにしようという所が出てくるはず!です。
今回は、弁護士の費用についてご案内しました。
事件を依頼した場合、時には数年にわたってお付き合いすることも少なくありません。
自分に合う人をしっかりと探したいものです。