ニッチで稼げる!?副業シリーズ〜法廷通訳人/司法通訳士とは
窃盗の容疑で韓国の裁判所に出廷した水泳の冨田さん。
通訳人が突然欠席したため審理の内容が理解できなかったというニュースが話題になっています。
外国人がきちんとした裁判を受けるためには通訳の存在が欠かせません。
もちろん、日本でも捜査や裁判の際は通訳の方が活躍しています。
さてこの通訳人、国選弁護の時などは私より時給がいいんじゃないかと感じることもしばしば。
条件にもよると思うのですが、外国語が得意な方が副業でやるには良い仕事っぽいのです。
1 司法通訳士ってどんな仕事?
捜査や裁判などの際に通訳をする仕事です。
警察に登録→外国人を取り調べる時などに通訳をします。
弁護士会などに登録→弁護士が接見に行く時に通訳をします。
裁判所に登録→裁判の際に法廷で通訳をします(これが法廷通訳人)。
すごく大雑把に言うとこんな感じ。
実際には複数の登録をして、あちこちで活躍されている方が多いようです。
2 メリットとデメリットを教えて!
あくまで私のイメージです。
間違っていたら教えて下さい。
・メリット
一般的な仕事よりは時給が高い。
時間の調整がしやすい。空き時間にできる。
他に仕事や子育てがあってもOK。
・デメリット
裁判の通訳をするので間違ったら大変というプレッシャーがある。
決まったペースで仕事が入るわけではない。
事件がなければ仕事もない。
要するに毎日8時間働けるわけではないので法廷通訳だけでは月収が安定しない。
一般の通訳と比較すると時給が低く、待遇の改善を求める声がかなりある(でも国選弁護よりは高い気が…)。
3 どんな人がやってるの、資格は??
私が弁護士会に紹介を頼むと、大学で講師をやっている人や、中国からの留学生の方がよくいらっしゃいます。
通訳のレベルや法律の理解度はバラバラで、「よくこんなに法律のことを知ってるな…」という方から、「もうちょっと日本語を勉強してください…」という方まで様々です。
ちなみに今は日本司法通訳士連合会というのがあり、ここが資格試験をやっているっぽいのですが、恐らくこの資格を取らなくても裁判所だとかに登録できれば通訳人になれるはずです。
4 具体的にどうやったらなれるの?
おおまかに言うと、語学を勉強して、法律を勉強して、その後裁判所だとかに登録すればOK。
いきなりハードルが上がったなという感じがするのですが、まあ聞いてください。
狙い目なのはマイナー言語(少数言語)の通訳です。
「自分は英語が得意です!英語の法廷通訳人になりたいです!!」とか言ってもまずなれません。
英語は話せる人がたくさんいるからです。
よつばとの「とーちゃん」を見てください。
マイナー言語の翻訳家だからこそ、在宅ワークでよつばを養っていけるのです。
さて、では何語を選択するかですが、例えば主にフィリピンで用いられているタガログ語は需要が多いようですし、先日の事件でお世話になった「内モンゴル語(?)」に至っては東京の裁判所に5人しか登録していないとのこと。
5人なら頑張れば1位になれるかもしれません。
英語だとか主要言語の「通訳者や翻訳家」を目指そうと思ったら相当の勉強が必要です。
それに比べて超マイナー言語の通訳人であれば10分の1、いや20分の1の努力でものになる……はずです。
とはいえ日本から極端に遠い国の言葉を選ぶとそもそも事件が全くなかったりするので、アジア圏から選ぶのが無難でしょう。
というわけで、まずは少数言語を選んで勉強してください。
次に、法律の勉強をそこそこしてください。
こちらも無茶言うなと感じた方がいらっしゃるでしょうが、法律系の資格に合格するほどの勉強は不要です。
例えば最近話題の「裁判員裁判」。
あれは、
@裁判が始まる前に集まってどんな方針で進めるか協議して(公判前整理手続といいます)
Aその後に法廷で本番を行う
のですが、この点を理解できていない通訳人の方がいました。
被告人から、「どうして同じ裁判を2回やったんだ。日本には一事不再理(判決確定後に同一事件で公訴を提起することの禁止)がないのか。」と言われた時に伝達がうまくいかなかったのです。
まあ、確かに同じようなことを2回やるので被告人の気持ちは分かりますし、そもそも弁護士が説明しなければ通訳人も伝えられないわけですが、「いや、2回やってるんじゃないんだよ」という点にピンときて頂けると話が早いのになあと思った次第です。
というわけで、法律についても一般的な事項をある程度(とはいえ「正確に!」)押さえるだけで相当なものになります。間違いありません!
以上、通訳人の概要をご案内しました。
通訳になったる!という方、うまく選任された際にはぜひ一緒に接見したりしましょう。
もし通訳人の方がお読みでしたら、今後ともどうぞよろしくお願いします。
(参考) 千葉地方裁判所の通訳人候補者の募集