戸籍ロンダリングを見抜く!…何度離婚しても戸籍をきれいにする方法とは

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戸籍ロンダリングを見抜く!…何度離婚しても戸籍をきれいにする方法とは

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少し前ですが、関西で連続不審死事件があったと報道されていました。
被疑事実は、夫を青酸カリで殺害したというもの。

 

報道によると、被疑者の女性はこれまで複数回の結婚歴があり、夫が度々亡くなっていた模様。
黒川博行氏の小説「後妻業」のように遺産目当てで高齢の男性を狙ったのでは?と疑われ大きなニュースとなりました。

 

離婚後も戸籍をきれいにする方法

 

とはいえ被疑者は容疑を否認していますから、どうなるかは今後の捜査や裁判に委ねるとしましょう。

 

気になったのは、とある記事の中にあったこんな部分。

 

「容疑者は4人の夫と死別し、内縁の2人の男性も亡くなっている。戸籍上、再婚した経歴を分かりにくくするため、転籍などの措置をとり、離婚のたび最初の夫の姓に戻していたという。」(産経WEST2014.11.25付

 

さて、果たしてそんなに簡単に戸籍を操作して、離婚などの経歴を隠すことができるのか……というとできるのです。

 

まずはこちらの戸籍のサンプルをご覧ください。この女性は、「これまで4回離婚して、子が3人いる」という設定です。

 

 

 

戸籍のサンプル

 

 

確かに離婚歴が1回あることは分かります。
しかし、それ以前の離婚歴や出産歴は全くわかりません。

 

悪いことに戸籍の末尾に「これは、戸籍に記録されている事項の全部を証明した書面である」などと書いてあることから、「これで全部なんだ」と思ってしま方もいらっしゃるでしょう。

 

しかし、これが全部ではないのです。
というわけで、騙されないための注意点をご案内します。

 

 

戸籍のルール

 

※ ややこしいので面倒な方は「まとめ」だけお読み下さい。

 

戸籍は、「一組の夫婦&苗字が同じ子」ごとに作成します。

 

なので、普通は生まれた時に親の戸籍に強制的に加入し、結婚すると別の戸籍を作ります(婚姻届を出す際に、「ここに戸籍を作って下さい」と書く欄があります)。

 

で、離婚すると、@親の戸籍に戻るか、A自分一人の戸籍を作るか決めることができるのですが、Aを選び、かつ「これまで戸籍を作ったことのない市町村」で戸籍を作った場合にはサンプルのような戸籍となります。

 

その後、再び結婚→出産→離婚した際に、「これまでの戸籍がない市町村」で戸籍を作るとやっぱりサンプルのような戸籍となります。

 

というわけで、この戸籍からは「平成24年10月1日に離婚した」ことは分かっても、それより前の結婚歴や離婚歴は全く分からないのです。

 

 

〈まとめ〉

 

・離婚した時に
・別の市町村で新しく戸籍を作ると最後1回分の離婚歴しか載らない

 

 

最後1回の離婚の表示を戸籍から消したい

 

これも簡単です。

 

離婚後に自分一人の戸籍を作ったあとで、これまで戸籍を作ったことのない市町村に戸籍を移すだけです「転籍」といいます)。
役所に行って転籍届を出すだけですから手続きは住民票の移動と同じくらい簡単です。

 

ポイントは「これまで戸籍を作ったことのない市町村に」転籍するという点。

 

戸籍は市町村ごとに管理しているので、同じ市町村内で移動した場合はこれまでの戸籍に「移動したよ」という情報が書き加えられるだけです。
一方、他の市町村に転籍した場合には、出生の情報しか載っていないまっさらな戸籍が作成されることになるのです。

 

なお、転籍したからといって基本的に自分にデメリットはありません。
お亡くなりになったあとで相続人の方々が戸籍集めに苦労することはあるでしょうが。

 

もちろん、こうした手続を行っても、現在の戸籍から離婚の「表示」が消えるだけで、「昔の戸籍」には離婚の情報は残ります。
ただ、戸籍を見慣れているという方は余りいらっしゃらないでしょうから、一見きれいな戸籍ができるという寸法。

 

 

〈まとめ〉

 

・離婚後に
・戸籍を作ったことのない別の市町村に「転籍」すると離婚歴が表示されなくなる

 

 

「戸籍ロンダリング」を見抜く方法はないのか

 

婚約者のこれまでの戸籍を全て調査できればいいのですが、最近では個人情報保護の関係から「遺産分割協議に必要」だとかきちんとした説明をしないと他人の戸籍を見ることはできません。

 

しかし、今回のサンプル戸籍にもヒントは隠されています。

 

 

・戸籍の編製日はいつか

 

編製日は「平成24年10月1日」となっています。
よって、この戸籍から分かるのは平成24年10月1日「以降」の身分関係の変動です。

 

要するに、昭和35年5月10日の出生時から平成24年9月30日までの約50年間についてはこの戸籍では分からない!ということです。
編成日が新しい=それまではどうだったの??と疑うことができます。

 

 

・出生地はどこか

 

今回の出生地は川崎です。
一方、現在の戸籍は東京都です。

 

出生の場所と現在の戸籍の場所が違う、しかも両親の戸籍に戻らず一人だけの戸籍ということになると、どうしてなんだ?と疑うことができます。

 

 

・従前の戸籍はどこか、今回の戸籍ができた原因は何か

 

今回のサンプルには書いてありませんが、転籍した(役所に届け出をして戸籍の場所を移した)場合には、転籍した旨と元々の戸籍がどこにあったかということが必ず書いてあります。

 

転籍というのは普通するものではないですから、何だか怪しい?と気付けるはずです。

 

 

 

 

ただ、ここに書いたのはいずれも「怪しい」というだけで決定的なものではありません。
変だなと思ったら「前の戸籍もちょっと見せて」と言ってみるのがいいかもしれません。

 

とはいえ、婚約者から「前の夫とはずっと別居していたが平成24年にようやく離婚することができた。
両親は死んでいて自分一人の戸籍しか作れなかった。
子は1人もいない」なんて言われたら辻褄は合うので信じてしまうのもやむを得ないですよね……

 

 

過去の離婚歴や出産歴はどうしたら分かるのか

 

昔の戸籍を順々に辿る必要があります。

 

サンプル戸籍の場合、従前戸籍という欄の「大田区」の市役所へ行って戸籍を取る、次に大田区で取った戸籍の「従前戸籍」欄を見て次の戸籍を取る、と順番に調査すると、生まれてから死ぬまでの戸籍を集めることができます。

 

ただ、先ほど申し上げたように普通は他人の戸籍を取ることができないので、本人の同意を得て集めるほかありません。

 

結局、3次元の女性(or男性)は怖いという話。
早くどこかの市町村で、二次元キャラとの結婚を認める条例とかを作ってくれないですかね。
例えば大洗とかで。

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