【ヤミ金】 リアルでウシジマくんと対決してみた
弁護士会の法律相談に行ったらヤミ金対応を依頼されました。
最近はヤミ金が減ってるとか増えてるとか色々な意見がありますが、個人的にはいつも同じくらいの割合で需要があるというイメージです。
今回受任したのは全部で5社、全て携帯電話番号と「すずき」だの「さいとう」といった適当な呼び名しか分からない「090金融」です。
以下、「依頼者」という部分は依頼者の名前を言っているものとしてお読み下さい。
取りあえず電話しよう。
1 ヤミ金 すずき
私「もしもし、弁護士の○○です。依頼者さんの件で連絡しました。すずきさんですか。」
ヤミ「何だよ。」
私「弁護士に受任したのでもうお金は払いません。二度と依頼者さんに請求しないでください。」
ヤミ「お前な、依頼者にいくら貸したと思ってるんだよ。借りた金を返さないって人としてどうなんだよ。返せよ。」
私「もう返さないって言ってるでしょ。」
ヤミ「ふざけんなよ。返せよ。」
私「じゃあ裁判でもしてください。そこで対応します。」
ヤミ「できるわけねえだろ。どうなるかわかってるだろうな。くぁwせdrftgyふじこlp!!!!」
(電話切れる)
2 ヤミ金 さいとう
私「もしもし、弁護士の○○です。依頼者さんの件で連絡しました。さいとうさんですか。」
ヤミ「ああ、依頼者さんの件ね。何?」
私「弁護士に受任したのでもうお金は払いません。二度と依頼者さんに請求しないでください。」
ヤミ「そうですか。分かりました。でもこの人きっとまた戻ってきますよ笑。」
私「もう借りないように言っときますんで」
ヤミ「はいはい」
(電話切れる)
疑問1 「払わない」の一点張りで済むものなのか。
済みます!
というか、弁護士会は会員に「名目のいかんを問わずヤミ金には1円も返済しないように」と指導していますし、裁判所も「元本の返済すら不要」と言っています(最高裁平成20年6月10日判決)。
ヤミ金には1円も返す必要はありません。
疑問2 「すずき」と「さいとう」で、なぜこんなに対応が違うのか。
大きな理由は元金を返しているかどうかの違いだと思われます。
もちろん、ヤミ金には元金すら返す必要がないわけですが、むこうもビジネスでやっているので元金の回収にはこだわります。
今回の依頼者は5万円くらいを借りて、2万円くらいを何回か返す→また借りるというのを繰り返していました。
後に紹介した「さいとう」は取引が長かったので、既に元金は回収した上、利息でかなり儲けていたはずです。
こういうとき、電話1本であっさり引くヤミ金は多いです。
一方、最初に紹介した「すずき」の方は借りてから1度くらいしかお金を返していなかったのでまだ元金すら返済が済んでいませんでした。
こういうとき、ヤミ金は結構粘ってきます。
大抵は「人としてどうなんだよ」とか怒鳴られるのですが、ヤミ金というのは高金利の罪(出資法違反)、や無登録営業の罪(貸金業法違反)など色々な刑罰法規に触れる行為を行っているので、「その言い分はないだろ。常識的に考えて…」といつも思うのです。
という感じで一通りヤミ金に電話した辺りで依頼者から電話がありました。
「すずき」からしつこく電話があるとのこと。
これはもう一度「すずき」に電話です。
私「もしもし、すずきさん。もう依頼者さんに電話しないでって言ったでしょ。」
ヤミ「ふざけんなよ。それで済むわけないだろ。」
私「お金は返しません。連絡はしないでください。あ、依頼者さんの家に行ったりもしないでくださいね。」
ヤミ「もう電話じゃ話にならねえよ。会って話しようぜ。お前の場所言えよ。行くから。」
私「じゃあ明日朝10時半に桜田門の駅前にある警視庁の入り口前で待ち合わせましょう。桜田通りの方の入り口ですよ。10時半。必ず来てくださいね。」
ヤミ「ふざけんなよ。くぁwせdrftgyふじこlp!!!!」
(電話切れる)
警視庁は裁判所の向かい辺りにあります。
別の事件が終わった後に一応様子を伺いに行ってみたのですが誰も現れません。
その後「すずき」からの電話もありません。
現れたら逮捕してもらおうと思ってたのに。
あとは警察と銀行と電話会社に連絡をして口座や携帯をロックしてもらって仕事終了です。
ああそうだ、弁護士の費用ですが、弁護士会で受任した場合は大体1社2万円+税です。
今回は5社なので10万円。
恐らくどこの弁護士会も大差ないはずです。
これを月々1万円とか分割で頂きます。
でも分割払いにすると大抵途中で払ってもらえなくなるんですよね。
全部払ってくれるといいなあ…